医薬分業のメリット【経営スタイルにより決まる?】
医療
医薬分業に賛成か反対か
分業メリットを検証
-経営に対する考え方も影響-
経営
- 2015.09.29 -
医薬分業への考え方は人それぞれ
最近、患者の立場から見て、院外で薬が処方される場面も増えてきました。
国の政策の関係もあり、医薬分業が進んだ結果だと思われます。
しかし、院内処方も依然と残り、完全分離という環境でもないようです。
クリニック開業にあたって、どうするかは、結局経営者の考え方で決まるのだと思います。
以下では、その判断要素を財務的観点をメインに考察します。
医薬分業のメリット
①各種コストの抑制
院内処方を行うためには、以下のようなコストが発生します。
- ・保管スペースの賃料
- ・調剤及び在庫管理のための人件費や教育訓練費
- ・発注や請求管理コスト
- ・期限切れ薬剤の廃棄ロス
- ・専用設備設置による投資コスト
- ・調剤ミス等による損害賠償リスクと保険コスト
守備範囲を絞ることで、本業に専念し強みに磨きをかけるというのも、一つの経営戦略です。
また、設備や人員といった固定費を多く持つことはハイリスクハイリターン型経営に近づくとも言えます。
さらに、患者側でも医療費コストが増大する場合もあるでしょう。
②処方ミスの防止
院外薬剤師による処方箋チェックで、処方ミス防止機能を期待できます。
また、治療に専念できる時間が増えるというメリットもあるでしょう。
薬剤師側でも患者に対し、きめ細やかなサービス・指導ができるかもしれません。
③消費税率アップへの不安払拭
消費税率の増加に伴うコストアップを、売上に転化できないのではという不安もあります。
原状の政策では、診療報酬や薬価への点数上乗せでカバーしているようです。
しかし、国全体で医療費削減への取組みが提唱される中、将来的にも同制度が続く保証はありません。
(他方、今後消費税率は上がることはあっても、下がることは無いでしょう)
院内処方を実現するためには
反対に、院内処方を実現するには、上記コスト最小限に抑える必要があります。
つまり、経営効率化で達成できない問題ではないとも言えます。
医薬分業により院外処方をすれば、その利益は薬局側にも必ず発生しているでしょう。
経営という観点で、それを取り込むか否かは院長=経営者の考え方次第となります。
(医療の社会的役割の議論等は一旦置いておきます)
経済的側面で見れば、患者や薬の処方という端緒の多くはクリニック側にあります。
よって、このニーズを自社で取り込むのは、そう難しくないでしょう。
例えば、税理士でも保険代理店をしているケースがあります。
それは税理士が会社における保険ニーズの端緒に接しやすいポジションにいるからです。
この場合も、保険代理業を営むか否かは、税理士の経営に対する考え方が影響しています。
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