診療収益の分析と改善【レセプト点数】
医療
診療収益の内訳を分解・分析する
レセプト点数の調査
-モニタリングと打ち手-
経営
- 2015.10.01 -
診療収益を構成する要素
クリニックの診療収益は、患者数×1回当たり点数×月回数×10円で計算します。
10円というレセプト単価は変えられないため、各項目の改善を検討します。
統計情報は厚生労働省にて発表されるため、一つの目安として活用しても良いでしょう。
ポイントは、継続的にデータ分析し、問題の早期発見・改善の糸口とすることです。
指標の良し悪しは経営スタイルにより変化
診療収益を構成する各要素は、数値が高い程、収益も高くなります。
かといって、全てを高める必要もなく、一つを重点的に改善するというのも手です。
また、特定の一つを高めるとデメリットが生じる可能性もあります。
以下で、各項目のレセプト内容を見ていきます。
患者数
患者数を見る上で関係するのが、一人当たり診療時間です。
診療時間を決める要素は以下のようなものがあります。
- A)患者一診療当たりの平均時間
- B)クリニックの1日当たり診療時間(営業時間)
患者数が多いクリニックであれば、Aが効率的かもしれません。
この場合、1日当たり回転数は増えますが、コストの増加は無いからです。
ただし、診療時間低下→サービス水準低下により患者からの不満が発生する可能性はあります。
他方、Bではサービス水準の低下はありませんが、コストアップの懸念があります。
診療時間を延ばせば、その分残業等の人件費コストが発生するからです。
一方、仕事帰りのサラリーマンや共働き夫婦等からは好評かもしれません。
なお、絶対患者数が足りないというのであれば、広告等の打ち手が考えられます。
1回あたり点数
近時の全国平均を見ると、概ね以下の傾向にあります。
- ・医科診療(入院外):800点
- ・歯科診療:650点
点数アップには以下のようなアプローチが考えられます。
- A)診療項目の増加
- B)レセプト請求漏れのチェック
情報が氾濫している現在では、安易なA・患者自己負担増は難しいかもしれません。
ネットを通じて診療項目をチェックすることもできるからです。
他方、Bはさほど影響なく改善できる項目です。
ドクターらが忙しい場合は、専門コンサルに確認を依頼するという打ち手もあります。
チェック体制の構築は、不正請求の防止効果も期待できます。
月回数
月回数は患者の性質や診療内容によっても異なると思われます。
例えば、歯科の初診は月2回、継続再診は月4回、という具合です。
また、新規開業の場合はクリニック側に時間的余裕があるため、回数が増えるかもしれません。
ところで、1回あたり点数と月回数はセット(※)でバランスを考える必要があります。
(※1件当たり点数)
なぜなら、集団的個別指導は1件当たり点数が基準となるからです。
どちらかを高く、あるいは低くする。
あるいは、どちらも平均的数値に抑える。
単価を上げたほうが良いという人もいますし、回転率を上げたほうが良いという人もいます。
いずれにせよ、クリニックの経営方針や繁忙状況、地域事情等にも左右されることです。
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