クリニック開業時の設備投資と優遇税制
医療
クリニックの設備投資と節税対策
本当に必要な設備ですか?
-開業時に揃える医療機器等-
経営
- 2015.09.28 -
設備投資とキャッシュフローのバランス
設備投資は、将来の収益を生む源泉となるものです。
高価な設備の場合は、その費用対効果を測定し、慎重な判断を要します。
クリニック開業時には多くの設備投資が行われるでしょう。
過剰な投資は利益とキャッシュフローを圧迫し、黒字倒産の原因ともなりかねません。
長期的視点と税制優遇を織り交ぜながら、最適な投資額と時期をシュミレーションしましょう。
クリニック設備投資に関わる税制優遇の内容
優遇される税制は、主に以下の2種類に大別できます。
- A)税金を削減するもの
- B)税金は削減しないが、早めに費用化できるもの
A)税金を削減するもの
例えば、2年間で100円(1年目:50円、2年目:50円)の納税が必要と仮定しましょう。
その場合、当制度を利用すれば、90円の納税で済みます。
(1年目:40円、2年目:50円、計:90円)
具体的には、以下のような設備を購入した場合に適用できます。
- ①1台120万円以上の電子機器、デジタル複合機
- ②1個70万円以上のソフトウェア
B)税金は削減しないが、早めに費用化できるもの
上記と同じ例(2年間で100円の納税)で考えてみます。
当制度を利用すれば、トータル納税額は変わりませんが、年度の納税額が異なります。
つまり、1年目:30円、2年目:70円、計:100円、といった具合です。
開業当初はキャッシュフローも乏しいため、当制度の節税効果で資金を捻出できます。
具体的には、以下のような設備を購入した場合に適用できます。
- ①サービス付き高齢者向け住宅
- ②1台500万円以上の一定の医療用機器
どのメーカーを選定するか
医療関連機器では、ニッチ分野を得意とする小規模メーカーが多いことも特徴と言われます。
そのため、企業規模も数名~数千名まで様々です。
小規模メーカーでは大手メーカーが実現しない(採算が合わない)機能も実装していることがあります。
ただし、使い勝手が良く導入コスト安の反面、サポート力に欠ける傾向もあるようです。
(倒産や開発中止に伴うサポート終了等)
そのため、長期的観点からはコスト高となる場合もあります。
購入後僅か2~3年でサポート終了、要買換というケースもありました。
開業時の設備導入はコストの他、メーカーの長期サポート力も重要な検討事項だと思われます。
設備導入の目的を明らかに
開業時、勤務時代の延長で、高価な設備を一式揃える場合もあります。
しかし財務力の問題から、過度の設備投資は開業当初の資金繰りを圧迫します。
本当に必要な設備か否かを吟味し、極力最小限の投資に抑えます。
なお、設備には医療用機器の他、内装工事も含まれます。
特に内装工事は費用化する期間が長く、節税効果に乏しい投資です。
(例えば、鉄骨造建物の内装は、39年かけて費用化されます)
ところで、最近はデザイナーズ物件のようなお洒落なクリニックも多く見かけます。
見た目は集客手段の一つですが、懲りすぎて建築費が高騰する場合もあるようです。
(設計会社によっては、クリニック開業というだけで「坪:40万円~」という根拠に乏しい説明をするところもあるようです)
また、開業時は比較的銀行からの融資も得やすいですが、開業後は事情が異なります。
将来の採算予測と購入目的を明らかにし、長期的視点で検討します。
そのためにも、毎月税理士と資金繰りについてこまめに相談しておくのが良いでしょう。
特に事業が黒字化した後は、予定納税等の想定外の出費に戸惑われる方もいます。
開業時に購入するもの、軌道に乗った後購入するものの、切り分けも必要でしょう。
記事一覧へ