スタッフへの教育は患者満足度向上に直結
医療
スタッフはサービス力アップの要
能力とモチベーションの力
-患者満足度に繋がる-
経営
- 2015.09.29 -
人材管理と集客への影響
クリニックでは、患者は何に満足するでしょうか。
勿論、病気が治ることが優先されるでしょう。
しかし、スタッフの対応や医師の人当たりの良さなど見えないサービスに魅かれる人も多いと思います。
患者と接する者は、漏れなくサービスを提供する側の人間となります。
そして、その人間の能力や士気が顧客満足度に影響し、リピーターや口コミ喚起・新患獲得へと繋がります。
そのため、クリニック経営にとって、人材管理は大切な要素です。
クリニック経営における人材管理の留意点
①受付・電話窓口でのサービス
受付・電話対応は患者と最初に接する窓口です。
人の第一印象は心理的に5~10秒で決まるといわれますが、クリニックも同様でしょう。
重要な要素一つに、診療時間外の対応力が挙げられます。
時間外に連絡してくる人は急病や仕事が忙しい人など、いずれも診察を強く欲している人でしょう。
このとき、以下の対応では不満が残るかもしれません。
- ・休憩時間を優先し、スタッフが自己判断して電話対応しなかった
- ・長時間勤務により疲弊し、電話対応者の接客レベルが低下している
- ・時間外診療は理由の有無を問わず、最初から門前払いする
時間外診療への問合せ時にはどう対処するか。
クリニック側に責の無い、アクシデント発生時の対応全般にも言えることでしょう。
内部で、予め方針決めと教育を行う必要があるかもしれません。
②人材配置における、未経験者と経験者のバランス
どの職場でも言えることですが、中途採用者には前職のやり方・仕事の流儀があります。
経験年数が長いほど、能力もこだわりも強いでしょう。
例えば、看護師2名、スタッフ4名で開業するとします。
スタートアップ時、ベテランは多くて各1名で構成し、残りは新人で補填します。
その方が人間関係の衝突や不満の発生、モチベーション低下も抑えられるでしょう。
ただし、ベテランには管理職としての資質も必要かもしれません。
- ・コミュニケーション能力
- ・リーダーシップ
- ・部下への教育
- ・院長(=経営者)の意向をスタッフに伝える橋渡的役割
他の中小零細企業でも言えることですが、No.2には高い能力が求められます。
(報酬も高い傾向にあります)
一担当者ではなく、経営の役割も期待できる人材であれば、理想的です。
③人材派遣サービスと社内組織力の強化
医療関係の人材派遣サービスでは、紹介料が高額になる傾向があります。
職種やキャリアにも依りますが、100万円を超えることも珍しくありません。
また、紹介後短期間で離職するリスクもあります。
クリニックの人材確保・安定経営のためには、多能工化も一つの方法です。
計画的ジョブローテーションにより、属人的職種を極力排除します。
また、作業を標準化・マニュアル化し、社内で共有することも有効です。
院内でMBO(※)を作成し、計画的教育とモチベーション向上を図り、離職率を低下させます。
(※Management by Objectives=目標管理制度)
仮に急な退職者が発生しても、残ったスタッフで対応できる組織体制を整備します。
そうすれば、人材派遣サービスを利用する機会も極力減らせるのではないでしょうか。
④事務職の資格取得を促す
看護職の社外研修は比較的充実していますが、医療事務は同様のものが少ない傾向にあります。
資格取得の勉強を通じたレベルアップを図るため、合格祝い金や資格取得手当を制度化することで、モチベーションをアップさせます。
社員へ教育研修を施す場合は、以下のようなケースでは原則給与でなく、会社経費となります。
(従業員には会社へ領収証を提出させて下さい。)
- ・使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき
- ・使用人に当該使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品で
- ・適正金額である
ただし、以下の場合は給与認定されるケースが多くなります。
- A:一身専属的な資格(簡単に言えば、独占業務等が国から認められ、独立開業できるもの)である
- B:上記Aの資格が無くても業務に支障はない
給与とすれば従業員にとっては、多少課税されますが、会社としては源泉徴収した方がリスクがありません。
ところで、せっかく資格取得補助を支給したのに直ぐ退職してしまった場合、返還請求は認められるでしょうか?
この場合は、仮に労働契約に条項が定められていたとしても、労働基準法第16条に抵触し無効となる可能性が高いと思われます。
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